1645人が本棚に入れています
本棚に追加
最初は、夏樹の辛い気持ちが少しでも和らげばいいなと思っていた。
けれど、ボールを打ち合っている間だけは俺の事だけを見ていてくれるのが嬉しくて、誘っていたのも事実なんだ。
夏樹も楽しいと思ってくれているのか、誘えばいつでも笑顔で付き合ってくれた。
二人でテニスをして、自販機で飲み物を買って少し話をする。
夏樹と俺の関係はずっとそんな感じだった。
それでいいかな……と思ってたのが変わったのは、夏樹の卒業式の日だ。
あの日も夏樹を誘ってテニスをした。
いつもと違っていたのは、夏樹の友達の蓮見 櫂(はすみ かい)が迎えに来た事だ。
蓮見は俺を睨み付け、自分のものであるかのように大事そうに夏樹を連れて帰った。
最初のコメントを投稿しよう!