中司 仁(なかつかさ じん)

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諦める……と決めたのに、夏樹が蓮見と一緒にいると考えただけで気持ちが揺れる。 自分の気持ちをどうしようも出来ないまま、とぼとぼと安永の祖父の家に帰ってきた。 やっぱりまだ諦めたくない。 往生際が悪い自分に呆れていると、夏樹が一人で立っているのを見つけた。 気がつけば夏樹を抱き締めていた。 さっきまで諦めようと思っていたのに、やっぱり出来そうもなく、心の内を夏樹に打ち明けていた。 「夏樹……俺に背を向けないで。 お前が蓮見の所に走っていく背中を、何度も何度も見送った。 だけど、それでも諦めきれないんだ。 俺は、どうしたらいいかな」
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