1645人が本棚に入れています
本棚に追加
夏樹の目から涙がこぼれ落ちた。
……ああ、夏樹を泣かせてしまった。
高校の頃から蓮見を思って泣いている夏樹を見てきて、俺なら絶対に泣かせないって思ってたのに……。
夏樹を笑顔にしてやりたいとずっと願ってきたのに、それが出来るのはやっぱり蓮見しかいないんだと改めて思い知らされる。
……あのキラキラとした幸せそうな笑顔を、1度でいいから俺にも向けてほしかったな。
悔しくて、ぐっと唇を噛み締めた。
その時、ふわっと温かいものに包まれた。
泣いている俺たちを、安永が手を伸ばして抱き締めたんだ。
「誰も悪くないから。だから、2人とも泣かないで……」
そういう安永が一番泣いている気がするけど。
俺たち3人は、抱き合ったまましばらく泣きつづけたんだ。
最初のコメントを投稿しよう!