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やっぱりあれは、別れの『バイバイ』だったんだ。
琢磨のおじいちゃん家からの帰りの車内でも僕が助手席に座り、3人で仲良く話をしながら帰ってきた。色々あったけど、楽しい思い出が沢山出来て幸せだった。
僕の家の前まで送ってもらい、
『ありがとうございました』
とお礼を言ったら、先輩が、
『いいよ。ゆっくり休んで。夏樹、バイバイ』
って言ったんだ。
その時はちょっとだけ違和感を感じただけだった。
でも、普段先輩は『夏樹、またな』とか『また連絡する』とか次に繋がる言葉をくれるのに、あの時は『バイバイ』だった。
『もう会わない』って言われちゃったのかな。
これでいいって分かってるのに、少し寂しい。
先輩の思いに応えられないのなら、いつまでも側にいちゃいけないって分かってるんだ。
櫂に片思いしていた辛い時に、さりげなく側にいてくれた先輩にすごく甘えていたんだね。
先輩がいなくなることがこんなに悲しいって思いもしなかったよ。
先輩の事を考えていると、急に押し倒された。
「んっ……」
櫂が僕にまたがって突然深くキスしてきた。
「あの……、櫂?」
「黙って。俺だけを見て、感じてよ」
苦しそうにそう言うと、櫂は再び僕の唇を塞いだ。
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