嫉妬

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僕は床に足を付けると、少しふらつきながら電話を拾い上げた。 通話ボタンを押そうとした途端、着信音が途絶えた。 「切れちゃった」 呟きながら誰からか見ると、中司(なかつかさ)先輩からだった。 「先輩……」 あの旅行以来連絡がなく、ちょっと心配してたからホッとする。 かけ直そうとして履歴を見て、何度も着信があったことに気づいてびっくりした。 慌ててメッセージを確認しても、先輩からは何も届いてない。 いつもなら電話に出ないときはメッセージを残してくれるので、少し心配になる。 もう一度かけ直そうとした時、部屋のドアが開いた。 「夏樹、起きてたの? そっか、またかかってきたんだ。 夕方から何度も鳴ってたから」 櫂は誰からか知ってるんだろう。 着信する度に名前が表示されるんだから、当たり前か。
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