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気がつけば、電話が切れていた。櫂が続きを聞いてくれたらしく、心配そうに僕を見ている。
「櫂……先輩、どうしたの?
死んじゃうかもしれないって」
泣きながら櫂の腕を掴む。
涙が後から後から溢れて止まらない。
「夏樹、落ち着いて。先輩は病気じゃないと思うよ。
ただ、何もする気にならなくてご飯も食べないから、どんどん痩せてきてるみたいなんだ」
「どうして、そうなったの?本当に病気じゃないの?」
「わからない。
お母さんがいうには、夏樹に会いたいって繰り返し言ってるらしいんだ。
………夏樹はどうしたい?」
先輩の思いに応えられない僕は、会いに行くべきじゃないのかもしれない。
だけど、僕が苦しんでいるとき先輩はずっと側にいてくれたんだ。
「………行きたい」
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