放っておけない

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「あれ、夏樹、どうしたの?」 先輩が驚いて起き上がろうとしたけど、力が無いのか体が持ち上がらないようだ。 僕は先輩にかけよって、体を支えた。 「俺、夢を見ているのかな?夏樹がこんな所に居るはずないのに」 そう呟いた先輩は、ずいぶん痩せて今にも消えてしまいそうに弱々しかった。 「夢じゃないです。僕、ここに居ますよ。 先輩、一体何があったんですか? 教えて下さい」 必死で問いかける僕を先輩は不思議そうに見ながら、『母さんも夏樹も大袈裟だな』と笑った。 「大袈裟じゃないです。先輩は何でごはんを食べないの? こんなに痩せちゃ、テニスも出来ないじゃないですか」 泣きながら訴えると、「夏樹はお腹すいてるの?」と先輩が聞いてきた。
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