放っておけない

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「美味しいです」 お母さんに言うと、涙を我慢しているのか『うん、うん』と頷いてくれた。 「いっぱい食べろよ」 先輩が僕に肉じゃがのお皿を渡してくれようとした。 「あっ」 腕の力も落ちているのか、お皿が傾きかける。 「危ない」 慌てて先輩の手に僕の手を添えて支えると、ホッとしたように先輩が息をはいた。 「ありがとう」 「いえ」 先輩、何でこんなになっちゃったの? いつも、支えられるのは僕だったのに。 泣きそうな僕を励ますように、櫂がテーブルの下で手をぎゅっと握ってくれた。
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