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「ごちそうさまでした。美味しかったです」
櫂がきちんとお礼を言って、食器を片付けるのを手伝いだした。
「ごちそうさまでした」
僕も慌てて立ち上がるが、今の状況をうまく受け入れられなくてぱっぱと動けない。
とりあえず自分の使ったお皿を重ねて持っていくと、先輩のお母さんが『ありがとう』と受け取ってくれた。
櫂はお母さんが洗った食器を拭いている。
「二人とも座っててね」
テーブルを見ると、先輩が静かにお茶を飲んでいる。
ご飯の間椅子に座っているだけで、すごく疲れているみたいに見える。
「先輩、ソファーに座りましょうか?」
「ああ…そうだな。ごめん、一人で行けるから」
テーブルに手をついて立ち上がった先輩がフラフラと歩きだした。
危ないな……
僕は先輩の隣に行き、倒れないように見守った。
先輩はゆっくりとソファーに座ると、背もたれに体を預けて目を閉じた。
すごく辛そうで、見ているだけで苦しくなる。
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