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「無理させてごめんな」
「無理なんてしてないよ。僕も櫂と同じ気持ちだったから、気にしないで」
櫂に笑いかけると、安心したように櫂が表情を緩めた。
ごめんね。色々心配かけてたんだね。
ふと時計を見ると、もう8時だった。
先輩も疲れてるし、そろそろおいとました方がよさそうだ。
櫂もそう思ったみたいで、僕たちは鞄を持った。
「じゃあ、僕たちそろそろ帰ります」
「そうね。今日はありがとう。
また、来てくれるかしら」
「はい、もちろんです。
じゃあ、先輩、帰りますね。
部屋まで行けますか?」
先輩に近づいて話しかけると、先輩が弱々しく僕の服を掴んだ。
「帰らないで!
……あ、何でもないよ。今日はありがとう」
先輩が力を緩めると、手がぱさりとソファーに落ちた。
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