放っておけない

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「はじめまして。 俺は仁(じん)の兄の礼(れい)。 弟の様子がおかしいからと母から連絡があって、さっき帰ってきたんだ。 それで、君の事を聞いて話してみたくなってね。 少し時間をもらえる?」 「大丈夫です。 僕は、上条夏樹(かみじょう なつき)と言います。中司先輩は高校のテニス部の先輩で、それからずっとお世話になっているんです」 僕が説明すると、「へー、そうなんだ」と言いながら、お兄さんが僕をじっと見た。 「仁って、そんなに面倒見良かった? 俺と仁は6歳離れてるんだ。俺は中学から私立の中高一貫高校の寮に入るために家を出たから、仁は実質一人っ子みたいに育ったんだよ。 昔から大人びてるやつでさ、たまに会っても飄々としてて、とても後輩を可愛がるタイプには見えなかったんだよね」 僕の抱いてる先輩像とお兄さんの弟への印象が全然違っていて戸惑う。 たしかお母さんもしっかりしてるって言ってた。
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