放っておけない

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お母さんは、アメリカのお兄さんに連絡するほど先輩が心配だったんだ。 僕にも『死んじゃう』って電話があったくらいだし。 さっき少しだけご飯とおかずを食べてくれたけど、明日からも先輩はちゃんと食べてくれるのかな? お母さん、食べてる先輩を見て涙ぐんでたから、嬉しかったんだと思う。 先輩にはいつもお世話になりっぱなしだから、ほんの少しでもお手伝いが出来ればいいんだけど……。 お兄さんの前だということを忘れて考え込んでいると、頭を優しくポンポンされた。 顔を上げると、ニコニコしたお兄さんが僕を見つめていた。 「お兄さん?」 「お兄さんか。礼でいいよ。仁にもお兄さんなんて呼ばれないからね」 「じゃあ……礼さんって呼びますね。 どうして笑ってるんですか?」
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