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「あ、うん。仁が君を大切にしてる気持ちが分かったから。
ところで、夏樹君って恋人いるの?」
急に違う質問をされて戸惑う。
僕と櫂のことは軽々しく言えることではないから余計に。
ただ、詳細は言えなくても嘘はつきたくないって思ってるんだ。
「……はい。います」
声が震えるのを必死で我慢する。
大丈夫。
礼さんは僕を優しく見つめながら、『そっか、仁は振られたんだね』って言ったんだ。
あれ……、もしかして、先輩がこんな風になったのは僕のせい?
急に目の前が真っ暗になって息苦しくなる。
礼さんが何か言ってるけど頭がガンガンして、まるで水の中にいるみたいに音が聞こえない。
何これ?苦しい。
息ができない。
櫂、助けて……。
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