放っておけない

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今まで味わったことがない苦しさに、涙が滲む。 「夏樹、大丈夫だから。ゆっくりと息をして。 そう、上手」 耳元で誰かの声がした。 聞き覚えのある声だ。これは……先輩? 僕が声に従ってゆっくりと呼吸をすると、次第に息苦しさがなくなっていった。 視界も戻ってきて、心配そうな礼さんが見える。 「夏樹、大丈夫?」 「……はい。僕、どうしたんですか?」 僕を抱き締めている先輩に聞く。 「たぶん過呼吸だと思う」 先輩は更に僕をしっかりと抱き締めて、背中を撫でてくれた。 「過呼吸?」 「うん、急に強い不安やストレスを感じると息苦しくなる状態の事だよ」
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