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過呼吸って聞いたことはあるけど、まさか自分がなるなんて思ってなかった。
「仁、紙袋は?」
礼さんはまだおろおろしている。
「いらない。ペーパーバック法は、今ではほとんど行われてないんだ。
それよりもゆっくりと息をさせることが大事なんだよ」
腹式呼吸を繰り返しているとだんだん落ち着いてきて、体が楽になってきた。
先輩にもたれかかっているのに気づいてゆっくりと体を起こすと、先輩の目に涙が浮かんでいるのが見える。
「先輩、泣いてるの?」
「泣いてるのは夏樹だよ。
なんで急にこんなことになったの?」
先輩は礼さんを睨み付けた。
「あ、いや、ごめん。
まさか、過呼吸になるなんて思ってなくて」
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