放っておけない

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side 中司 仁 寝てしまった夏樹に布団をかけてから部屋を出た。 ノックもせずにドアを開けると、ベッドに寝転んでいた礼が驚いて飛び起きる。 「じ、仁、ノックぐらいしろよ」 「しっ。夏樹が起きるだろ。 さっき後で来るって言ったんだから、気にしてろよ」 「お、お前、兄に向かってなんて口の聞き方をするんだ」 礼が何を言っても気にならない。 それより、夏樹をあんなに苦しめたのが許せないんだ。 「夏樹に何を言ったんだよ」 「いきなりかよ……。 あれは、悪かったよ。 夏樹君があんなに気にしてるなんて思わなくて」 「だから、何を言ったんだ」 「恋人がいるか聞いて、『仁は振られたんだね』って……」
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