放っておけない

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やっぱり、ちょっと疲れた。 夏樹も心配だし、部屋に帰ろう。 「大丈夫か?まだ体調悪そうだな」 礼の心配そうな顔を見たとき、小さな頃に転んで泣いていた俺を『痛いの痛いの飛んでいけー』って慰めてくれた礼を思い出した。 忘れてたけど、昔は礼の事が大好きで、家に帰ってくるのが嬉しくて仕方なかったんだ。 礼が構ってくるのをうっとおしく感じるようになったのは、いつからだろう? 「昔みたいに『お兄ちゃん』って呼びたくなった?」 冷たい目で見ると、『冗談だよ』ってブツブツ言っている。 でも本当は感謝してるんだ。 言わないけど。 「大丈夫。だけど、疲れたからもう寝るよ」 「ああ、おやすみ」 ちょっと思い付いて、 「おやすみ、お兄ちゃん」 と言ってみた。 「じ、じ、じんー」 たまには飴も与えないとね。
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