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部屋に帰って、すやすやと眠っている夏樹の頭を撫でる。
「ありがとう」
夏樹や礼が来てくれなかったら、まだ引きこもりを続けていたんだろうな。
でも、もう大丈夫だから。
綺麗なつるりとした頬にそっと触れると、気持ち良さそうに夏樹の方から擦り寄ってくる。
猫みたいで可愛い。
出来ることなら、このまま俺の腕の中に閉じ込めてしまいたいけど……
こんな風に俺の側で幸せそうに眠っていても、目を覚ました途端、お前は違う人を探し始めるんだよな。
蓮見を見つけた時の嬉しそうな笑顔を俺にも向けて欲しいって、何度願ったかしれない。
昔何かで男の方が諦めが悪いって読んだことがある。
その時はたかが恋愛をそんなに引きずるなんて信じられなかったけど、自分がその立場になると『なるほど』と納得してしまう。
時間が解決してくれるんだろうな。
夏樹を奥へ押して、隣に寝転んだ。
蓮見悪いな。今日だけだから……
俺は夏樹の寝息を聞きながら、久しぶりにぐっすりと眠った。
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