1645人が本棚に入れています
本棚に追加
まだ万全ではないかもしれないけど、昨日よりは食欲も出てきたし、何より表情が全く違っている。
不調の原因は僕にあるかもしれない。でも、風邪だって言ってくれた先輩の優しさを素直に受けとりたいって思う。
「先輩、風邪お大事に。
絶対に無理しないで下さいね」
「ごめんな。でも、それは夏樹もだよ。
昨日から体調があまり良くなかっただろ?
過呼吸の原因は急激なストレスだと思うけど、体が弱っていたから余計に心に負担がかかったんだと思う。
俺も夏樹が心配なんだよ」
僕が『はい』って返事をすると、先輩も無理しないって約束してくれた。
「先輩、礼さんは?
昨日あんなことになって驚かせたので、一言謝りたいんですが」
礼さんの名前が出た途端に、先輩の眉間にシワがよった。
「礼の事は気にしなくていいよ。
無理して帰国したらしく、疲れてるのかまだグウグウ寝てるから。
夏樹、礼が変なこと言ってごめんな」
礼さんの代わりに頭を下げる先輩に、僕は首を横に振った。
最初のコメントを投稿しよう!