1643人が本棚に入れています
本棚に追加
/460ページ
その時、僕の隣の窓が外からドンと叩かれた。
びっくりして外を見ると、不機嫌そうな櫂が立っている。
え、櫂が叩いたの?
櫂はじっと僕たちを見ると、くるっと背を向けて歩き出した。
あ……、美夏と彼の事がバレたかもしれない。
僕は、絶望的な気分におそわれた。
「櫂、どうしたの?」
美夏の声で我に返ると、櫂がテーブルの横に立って僕たちを見下ろしていた。
櫂は帰ろうとしたんじゃなかったんだ。
「誰?」
葛城さんが美夏に聞いた。
「幼馴染みなの」
美夏が言った途端に、櫂が美夏の腕を取って立たせ、自分の方に引き寄せた。
ズキン……と僕の心に痛みが走った。
最初のコメントを投稿しよう!