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「実は、美夏には彼がいるんだ。
高校の演劇部の先輩で、葛城 修也(かつらぎ しゅうや)さん。
櫂も知ってるかな?よく主役をしてた先輩。
美夏は卒業式の日に先輩に告白されて、付き合うようになったんだ」
「…………」
何も言わない櫂を見て思う。
やっぱり、櫂にはショックが大きすぎたんだって。
なんて声をかけようか迷っていると。
「で、さっき手を握っていたのはどういう事だ?」
美夏、手なんか握ってたのかな?
全然気づかなかったんだ。
「多分恋人だから『恋人なのか!』」
もうここまで来たら、きちんと櫂に納得してもらうしかないんだ。
「さっき説明しただろ?美夏に彼が出来たって」
「美夏は関係ないだろ。夏樹、お前、さっきの女と付き合ってるのか?」
「え、僕?僕は付き合ってないよ。当たり前だろ」
「本当にお前はあの女と付き合ってないんだな?」
僕が頷くと、櫂は「良かった」と言って、椅子にぐったりと凭れた。
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