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「夏樹、似合う。やっぱりスカートはこのフワッとした形にしよう。お姫様だもん」
衣装は各自が用意することになっていた。
家では美夏と母さんが、白雪姫の衣装を用意してくれたんだ。
そっか。普段はスカートなんかはかなかった美夏が色々こだわって衣装を決めてくれたのは、デザイナーになりたかったからなんだ。
「櫂が王子さまなのが気に入らないけどね」
美夏が櫂の悪口を言い出したのはいつからだろう。
毎日喧嘩するのが当たり前になっていたから、気にしてなかったけど。
嫌いの反対は好きだから、『美夏は櫂を好きなんだ』って勝手に思い込んでたんだね。
夢の中の僕は、せっかくの衣装を嫌そうに眺めている。
そうだ。あの時、1度は納得したもののやっぱりお姫様は嫌だって駄々をこねたんだった。
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