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「今日で二人の制服姿も見納めなのね。
よく似合ってたから、寂しくなるわ」
母さんが悲しそうに僕たちを見た。
「はいはい、泣かないで。
私がデザイナーになったら、夏樹に似合う服をバンバン作って着せてあげるから元気だして」
「本当?お母さん、アイドルみたいな服は苦手だからね。白いシャツにジーンズとかでもいいの。
清潔感のある爽やかなデザインにしてね」
「了解」
僕の名前は、上条 夏樹(かみじょう なつき)。
今日で高校を卒業し、4月からは大学に進学する。
そして、母さんを慰めているのは双子の妹 美夏(みなつ)。美夏も同じ高校を今日で卒業する。
美夏は小さい頃からの夢であるデザイナーへの第一歩として専門学校に進学するんだ。
そこは、実力次第でフランスやイタリアに留学できたりするらしい。
今活躍しているデザイナーが数多く卒業していることもあり、入学するのが大学より大変だと言われていたけれども、美夏はさらっと合格した。
「遅れちゃうから行くよ」
幼稚園の頃からこうやって美夏と一緒に通っていたのも今日で最後だ。
そう考えると、ちょっと寂しくなる。
でも、いくら双子だからってずっと同じ道は歩けないんだ。
美夏が夢に向かって進むように、僕も大学で何かを見つけられればいいな。
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