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琢磨が空のお盆を持って帰って来た。
「あれって夏樹の知り合いだよな?
この前、店に入って来て、夏樹を連れていった」
「あ、うん。幼馴染みなんだ」
「で、なんで幼馴染みが来て困ってるの?」
……どうしよう。
その時、「すみませーん」と櫂のテーブルから声が聞こえた。
「俺が行くから、夏樹はいいよ。
言えるようになったら教えて」
琢磨はそう言うと、注文を取りに行ってくれた。
結局、櫂のテーブルは琢磨が全て受け持ってくれて、櫂は僕と顔を会わさないまま帰って行った。
はぁ。
私服に着替えながら、僕はため息をついた。
ちゃんと櫂にバイトの事を言っておけばよかった。
制服姿を見られるのが恥ずかしいから言えなかったなんて、バカみたいだ。
櫂を傷つけちゃったかな……。
明日こそは櫂にきちんと言おう。
そう決心し、お店を出た。
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