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とぼとぼ歩いていると、家の前に櫂が立っているのに気がついた。
僕は一瞬立ち止まり、意を決して櫂に近づいた。
「夏樹お帰り」
「あ……うん、ただいま。あのね、櫂に言わないといけないことがあるんだ。
実はね………「夏樹」」
もうちょっとでバイトの事が言えそうだったのに、櫂に遮られてしまう。
「何?」
「ついて来て」
そう言うと、櫂はさっさと自分の家に入って行ってしまった。
「待って……」
僕も慌てて中に入る。
すると、何度も訪れた櫂の家が、どこかいつもと違う気がした。
あれ?
そうだ。いつもはついているリビングの明かりが消えていて、家の中がシンとしているんだ。
おじさん達、もう寝てるのかな?
挨拶は控えて、僕はそっと櫂の部屋まで階段を上がっていった。
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