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櫂が顔を上げようとするのを、ぎゅっと押さえ込む。
もう少しだけ、聞いて。
「櫂の気持ちが迷惑なんて、あり得ないよ。
それどころか、嬉しくて泣きそうだよ。
櫂は僕なんかでいいの?
周りにはもっと素敵な……」
「夏樹!」
突然名前を呼ばれて、びっくりしたためにゆるんだ僕の腕から抜け出した櫂は、じっと僕を見つめてきた。
「夏樹がいいんだ。小さいときから夏樹だけが好きなんだ。
お前より、俺の方が何千倍も好きだよ。
だから、これから一生かけてそれを分からせてやるよ。
いくら鈍いお前でも、勘違い出来ないくらいしつこく分からせてやるから覚悟しろよ」
涙が溢れる。
これって夢じゃないの?
櫂が僕を好きなんだよ。
櫂と両思いなんだよ。
「櫂っ」
僕は櫂の首に腕を回して抱きついた。
櫂はそんな僕をがっしりと受け止めて、背中に腕を回して抱き締めてくれたんだ。
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