バイト

14/21

1644人が本棚に入れています
本棚に追加
/460ページ
櫂が顔を上げようとするのを、ぎゅっと押さえ込む。 もう少しだけ、聞いて。 「櫂の気持ちが迷惑なんて、あり得ないよ。 それどころか、嬉しくて泣きそうだよ。 櫂は僕なんかでいいの? 周りにはもっと素敵な……」 「夏樹!」 突然名前を呼ばれて、びっくりしたためにゆるんだ僕の腕から抜け出した櫂は、じっと僕を見つめてきた。 「夏樹がいいんだ。小さいときから夏樹だけが好きなんだ。 お前より、俺の方が何千倍も好きだよ。 だから、これから一生かけてそれを分からせてやるよ。 いくら鈍いお前でも、勘違い出来ないくらいしつこく分からせてやるから覚悟しろよ」 涙が溢れる。 これって夢じゃないの? 櫂が僕を好きなんだよ。 櫂と両思いなんだよ。 「櫂っ」 僕は櫂の首に腕を回して抱きついた。 櫂はそんな僕をがっしりと受け止めて、背中に腕を回して抱き締めてくれたんだ。
/460ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1644人が本棚に入れています
本棚に追加