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「櫂、帰りたくないよ」
「…………俺も。
夏樹は明日はバイト?」
「うん、朝から。櫂は?」
「俺も。じゃあ、今日は昔みたいにくっついて寝ようか?」
僕はこくんと頷いた。
櫂がお風呂の準備をしてくれている間に、うちに電話をする。
『課題を一緒にするから櫂の家に泊まる』って行ったら、全く疑われなかった。
疑われるってビクビクしてるのは僕だけなんだけど。
昔から泊まり合いはよくしていたから、母さんにしてみれば『おじさん達に迷惑かけないでね』ぐらいの感覚だ。
恋人になった最初の夜。
もしかして……と、思うとドキドキする。
「夏樹、お風呂入ってきて」
「……ありがとう」
櫂はにっと笑って、僕の鼻をぎゅっとつまんだ。
結構痛くて涙目になる。
「大丈夫だから。これ以上はしないから、安心して。さ、順番にお風呂に入って寝よう。
俺、明日7時には出ないといけないんだ」
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