バイト

20/21

1644人が本棚に入れています
本棚に追加
/460ページ
僕は慌てて櫂の腕を掴んだ。 これ以上すると、本当にやばい。 「櫂、もう……」 「あ、ごめん」 切羽詰まった気持ちが伝わったのか、櫂は名残惜しそうに離れてくれた。 「はぁ。何でバイト入れたんだろう」 すごく残念そうに言うから、ちょっと笑ってしまう。 「時間、大丈夫?」 「やばい。朝ご飯食べる時間ないや。ごめんな」 「家で食べるからいいよ。それより、櫂は大丈夫なの?」 櫂は着ていたTシャツを脱ぎながら、「トラックで食べるから大丈夫」って教えてくれる。 だけど、僕は筋肉のついた体にドキドキしてあまり聞いてなかったんだ。 「夏樹、顔が赤いけど」 からかう櫂を無視して、僕も借りていたTシャツを脱いだ。 昨日の服を着るのは嫌だけど、すぐに着替えるから我慢する。 急いで着替えて、借りていたTシャツと短パンを返そうとしたら、真っ赤になった櫂が固まっていた。
/460ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1644人が本棚に入れています
本棚に追加