バイト

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「夏樹、反則」 櫂は真っ赤な顔を手で覆った。 まさか、僕のひょろひょろな体に見とれるなんて……。 僕まで恥ずかしくなるじゃないか。 「そ、そうだ。僕、さっき幼稚園の時の夢を見てたんだよ。お昼寝の時、櫂はいつも僕の布団に入ってきたよね?」 「あ、あれな。 おふくろがさ、好きな人とは一緒に寝るんだって言ってたからな。 先生に何度も怒られた気がする」 「そっか……」 そんなサラッと好きな人って言われると……。 恥ずかしくて話題を変えたはずなのに、余計に恥ずかしくなってしまった。 たまに僕の事を『無自覚』とか『天然』って言うけど、櫂の方がよっぽど『天然』だと思う。 僕たちは櫂の家の前で、『じゃあ、夜 連絡するから』と、名残惜しげに別れたんだ。
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