1644人が本棚に入れています
本棚に追加
/460ページ
琢磨とちょっとだけ本気で打ち合って、スポーツドリンクを飲んでいると琢磨が僕にだけ聞こえるように話してきた。
「なぁ、中司先輩と何かあるの?」
「何かって?」
「いや、なんか俺、ずっと睨まれてるんだよね。
でも俺は先輩と接点がないから、原因は夏樹かなーと思って。
実はさ、この前の飲み会の後、先輩が夏樹を探してたんだ。だから、友達と帰ったって伝えたら、すごく悔しそうな顔をしたんだ」
櫂と帰った日だ。
先輩、何か用だったのかな?
飲み会の日は先輩は女子に囲まれていたから、全然話せなかったんだ。
「睨まれてるの?何だか想像つかないな」
その時、「夏樹」と先輩に呼ばれた。
「はい」
機嫌が悪いのかな……と怖々近づく。
「どうした?疲れたか?」
「いいえ、大丈夫です」
良かった。いつもの先輩だ。
「相手してくれるか?」
「はい」
先輩とするテニスは楽しい。僕の事をすごく考えてくれていることが分かるから。
「暑い」
僕がベンチに座ると先輩も隣に座った。
「汗かいてるぞ」
先輩が首にかけたタオルの端でおでこの汗を拭ってくれる。
先輩の顔があまりにも近くてドキドキした。
最初のコメントを投稿しよう!