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「あ、ありがとうございます」
「どういたしまして」
優しく笑う先輩を、女の子達が遠巻きに眺めて、ため息をついている。
「先輩、すごい人気ですね」
「そう?でも本命にはなかなか振り向いてもらえないんだよ」
先輩、なんだか寂しそう。
その人の事、すごく好きなんだね。
こんなにかっこいい先輩に振り向かない人がいるなんて信じられないけど、たぶん僕なんか見たこともないくらい素敵な人なんだろうな。
「先輩なら、大丈夫ですよ。頑張って下さい」
元気になって欲しくて、僕は先輩の手をぎゅっと握った。
「夏樹………」
先輩が何か言いかけた時、僕の携帯が鳴った。
「すみません」
電話は櫂からだった。
「後30分位で終わるから、一緒に帰らないか?」
「うん、帰る」
「じゃあ、また後でな」
櫂と一緒に帰れる。
あっという間に僕の頭の中は櫂で一杯になった。
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