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「誰から?」
「友達です。一緒に帰ろうって言われて」
「そう………」
中司先輩がさっきよりも元気がないように思えて、心配になる。
先輩は、高校時代から僕が落ち込んでいるのをすぐに見抜いて、声をかけてくれたんだ。
櫂は小さいときは乱暴者扱いで女子から敬遠されていたが、小学校高学年の時は既にモテていた。
高校でもそうで部活の試合には沢山の女子が応援に来てたし、普段からもよく呼び出されて告白されていた。
叶わない恋だと諦めていても、やっぱり落ち込んでしまう。
そんな時、中司先輩は「ちょっと付き合って?」ってテニスに誘ってくれたり、ラーメンやお好み焼きを奢ってくれたり、冗談を言って笑わせてくれたりした。
「先輩。本命の人、絶対に振り向いてくれますよ。
だから、元気出してください。僕、応援してますから」
僕が応援しても手助けにならないけど、言わずにはいられなかった。
「夏樹は?夏樹も僕を好きでいてくれる?」
「もちろんです」
「ありがとう」
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