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「片付けはじめるぞー」
3年の先輩の声で皆が動き始める。
「先輩は、ゆっくりしていて下さい。その分僕が頑張りますから」
僕はコートの側にある倉庫からブラシを取ってきて、ブラッシングを始めた。
隣のコートは琢磨がブラッシングしている。
僕と目が合うと琢磨が向こうのコートを指差した。
今の所が終われば向こうをしようって事だよね?
僕たちは後2面をブラッシングし、ブラシを戻しに行った。
「中司先輩、大丈夫か?」
「うん、たぶん」
いくら琢磨でも先輩の事を話すわけにはいかない。
「そうなんだ。ところでさ、夏樹って先輩の事どう思ってるの?」
「さっき先輩にも聞かれたよ。
もちろん、僕も先輩が好きだって答えたよ」
「え……。夏樹って、悪魔だな」
はあ?
何なんだろう。昨日から『神対応』とか『親父キラー』とか『悪魔』とか。
「……琢磨ってさ、僕の事嫌いなの?」
泣きそうになるのを我慢して琢磨を見上げる。
「あ……いや、そんな事ないよ。
ごめん。
嫌いじゃないから」
「本当に?」
琢磨は「うん」って頷いてくれた。
「やべ、破壊力半端ない」って聞こえた気がしたけど気のせいかな?
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