彼シャツ

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「どこか行くのか?」 「あ、うん……ちょっと」 曖昧な返事をすると、櫂の目が厳しくなった。 「俺に隠し事?」 「ごめん。ちょっと家に居たくなくて、まんが喫茶で時間潰そうかなって思って」 「じゃあ、俺の家で時間潰せば?行くぞ」 櫂に腕を掴まれて、無理矢理連行されてしまう。 ……はぁ。 僕は櫂の向かいに座らされて、理由を言うまで許してもらえそうもない。 「実は、バイトから帰ったら千帆さんがいたんだ。 居るのはいいんだけど、格好が……」 「格好が何?」 「か、彼シャツ状態だったんだ」 言った途端、顔にぼんと熱がたまった。 このまま黙っているのがいたたまれなくなって、僕は今日の出来事を全て話した。
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