1644人が本棚に入れています
本棚に追加
/460ページ
「ばか。
僕が櫂以外に欲情するわけないだろ。
千帆さんが裸で待ってても、何も感じないよ」
「裸エプロンでも?」
「…………」
………ちょっと見ちゃうかも。
不機嫌そうな櫂は、撫で回したいほど可愛い。
「嘘だよ。裸エプロンでも関係ないよ。
僕がドキドキするのは櫂だけだから」
「本当?」
「うん。本当」
櫂は安心したように、僕に抱きついてきた。
さっきまで触られていた場所が敏感になっていて、体がビクッと跳ねてしまった。
「ねぇ、続きしていい?」
櫂が頭でぐりぐりしながら、聞いてくる。
わざと、だよな。
体から力が抜けて、頭がぼーっとし出す。
………恋人同士だし、いいかもしれない。
『うん』って返事しそうになったとき、玄関にチャイムの音が鳴り響いた。
そして思い出す。
ここは櫂の家だ。おじさん達が帰ってきたのかもしれない。
離れようとした僕に櫂が囁いた。
「父さん達じゃないよ。
知ってるだろ?今日は町内会の旅行だよ」
そうだ。うちと同じように櫂の家も毎年夫婦揃って参加してる。
最初のコメントを投稿しよう!