彼シャツ

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「ばか。 僕が櫂以外に欲情するわけないだろ。 千帆さんが裸で待ってても、何も感じないよ」 「裸エプロンでも?」 「…………」 ………ちょっと見ちゃうかも。 不機嫌そうな櫂は、撫で回したいほど可愛い。 「嘘だよ。裸エプロンでも関係ないよ。 僕がドキドキするのは櫂だけだから」 「本当?」 「うん。本当」 櫂は安心したように、僕に抱きついてきた。 さっきまで触られていた場所が敏感になっていて、体がビクッと跳ねてしまった。 「ねぇ、続きしていい?」 櫂が頭でぐりぐりしながら、聞いてくる。 わざと、だよな。 体から力が抜けて、頭がぼーっとし出す。 ………恋人同士だし、いいかもしれない。 『うん』って返事しそうになったとき、玄関にチャイムの音が鳴り響いた。 そして思い出す。 ここは櫂の家だ。おじさん達が帰ってきたのかもしれない。 離れようとした僕に櫂が囁いた。 「父さん達じゃないよ。 知ってるだろ?今日は町内会の旅行だよ」 そうだ。うちと同じように櫂の家も毎年夫婦揃って参加してる。
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