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「無視するか?」
「だめだよ。電気ついてるからいるの分かるし」
「あー、めんどくさい」と言いながら、櫂が部屋を出ていった。
ふぅ……とため息をついて、改めて自分の格好を見ると恥ずかしくて仕方がない。
その時、「夏樹、いるんでしょ!」と美夏の声が聞こえた。
え、美夏?
美夏の乱入してきそうな勢いに驚いて、慌てて自分の服に着替える。
美夏、泣きそうな声してたな。
心配になって玄関に向かうと、必死で中に入ろうとしている美夏を櫂が通せんぼしていた。
「夏樹ごめんね。
修也には帰ってもらったから。
だから、帰ってきて」
とうとう美夏が泣き出した。
考えてみれば、今までの18年で、僕が一方的に怒ったのは初めてだ。
もちろん喧嘩は何度もしたけど、先に折れるのは僕ですぐに仲直りしてきた。
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