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前期の試験が終わった次の日、僕はテニスサークルのバーベキューに参加していた。
場所は車で一時間ほど走った所にある川辺。
参加は24人。
5台の車に乗り合わせて行く予定だ。
僕は琢磨と櫂と一緒に中司(なかつかさ)先輩の車に乗せてもらうことになった。
バーベキューの話を聞いた時、「参加したい人がいたら誘ってもいいよ」って言われたから、迷わず櫂を誘ったんだ。
櫂と一緒にバーベキューなんて楽しそう。
僕はワクワクしていた。
でも……最初からちょっと雲行きが怪しかった。
天気の話じゃなくて、僕たちの雰囲気が。
待ち合わせ場所にいた僕らの前にSUVって言うのかな、アウトドアにぴったりの車が停まって、中司先輩が窓から顔を出した。
「お待たせ。夏樹、助手席に乗って」
「はい。今日はよろしくお願いします」
僕が先輩に言われるままに助手席に乗ろうとすると、櫂に止められた。
「俺知り合いいないから、夏樹は後ろに乗って」
確かに。
櫂はテニスサークルじゃないから、僕以外は知り合いがいない。誘ったのは僕だし、楽しくすごしてほしい。
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