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「琢磨、助手席に乗って」
僕が言うと、「ああ」と琢磨が助手席に乗ろうとした。すると、今度は先輩に止められた。
「運転中に何かお願いすることがあるかもしれないから、よく知った夏樹が助手席に乗ってくれると助かるんだけど」
確かに。
ペットボトルの蓋とか開けれなかったり、飴とか食べたかったりしたら、知り合いの方が頼みやすいよね。
同じ車だし、たった一時間だし、櫂には前から話しかければ寂しくないよね。
「じゃあ、僕が助手席に乗ります。
櫂、ごめんね。でも、前からいっぱい話しかけるから、ね?」
手を合わせてお願いすると、櫂が渋々頷いた。
そして、今は車の中。
想像してたより重苦しい雰囲気が漂っていて、どうしたらいいのか分からない。
まだ走り始めたばかり。
たった一時間って思ってたけど、何だか長い一時間になりそうだ。
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