1644人が本棚に入れています
本棚に追加
/460ページ
包装を外したチョコレートをおずおずと先輩の口の近くに持っていった。
すると、僕をちらりと見た先輩が『ありがとう』と言いながら、僕が指で摘まんでいるチョコレートをぱくりと食べた。
先輩の柔らかい唇がホンの一瞬指に触れてドキドキする。
「うまい」
「あ、良かったです」
先輩の表情が少し柔らかくなった気がする。
「夏樹、ペットボトルの蓋、緩めてもらってもいいかな」
「あ、はい」
チョコレート食べたから喉が乾いたのかな。
僕はお茶のペットボトルの蓋を緩めて先輩に渡した。
「ありがとう」
先輩はお茶を一口飲むと、眩しいくらいの笑顔でお礼を言ってくれた。
「いえ」
僕も先輩に笑顔を返す。
良かった。少し場が和んだ気がして嬉しく感じていたら、「ポッキーちょうだい」と櫂が言った。
櫂も気を使ってくれるんだね。
嬉しくなって、二種類のポッキーの箱を渡した。
最初のコメントを投稿しよう!