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「川まで行ってみようよ」
僕は櫂を誘った。
「そうだな」
バーベキューをしている広場の前の土の道を辿っていくと、少し低くなった所に川があった。
割と浅いので、小さな子供が両親と水遊びを楽しんでいる。
僕たちは水遊びをしている人たちからちょっと離れた場所に座った。
日差しが照りつけて汗がにじむ。
夏だなぁ。
首の後ろが焼けそうで、僕はシャツの襟を立てた。
「暑い?移動しようか?」
櫂が気遣って言ってくれるけど、僕は首を横に振った。
「大丈夫。もうちょっとここにいたい。
今日初めて櫂と二人きりになれたんだから」
「そうだな」
僕たちは裸足の足を川に浸けた。
冷たくて、気持ちいい。
時おり吹く爽やかな風が、僕らの間を吹き抜けていった。
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