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櫂が、そっと僕の手に自分の手を重ねた。
「ん?」と櫂を見上げると、日差しを遮るように櫂がゆっくり近づいてきて、優しいキスが落ちてきた。
ぼんって音がしそうなくらい、一瞬で身体中が熱くなる。
見上げると、櫂がイタズラそうに笑っていた。
嬉しいけど恥ずかしい。
すぐ近くにキャーキャーはしゃいでいる親子連れがいるのに。
僕が小さく「ばか」って言うと、櫂は「ハハハ」と今度は声を出して笑った。
しばらく川を眺めながら、小学校の自然学校の話をして笑いあった。
あの時は山の上の湖(池かな?)でカヌーに乗った。
櫂がはしゃいでわざと揺らしたから女の子が泣いちゃって、その後一時間も先生にお説教されていたんだ。
「そろそろ戻ろうか?」
「うん」
先に立ち上がった櫂が僕の腕を引っ張って立たせてくれる。
濡れた足をサンダルに突っ込んで川沿いをしばらく歩いていたら乾いてきたので、土の道に戻った。
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