狐の嫁入り

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 神社の階段に契(けい)くんとシロさんが座って待っていた。契くんの横に腰を下ろすと、顔の横に付けてた狐のお面が少し揺れた。  今回の依頼は、私が新郎さんの妹役として出席する事だった。人柱としてお面に宿った妹さんの命を受け入れ、狐の嫁入りが終わるまで支えなきゃいけなかった。なのに私は最後まで……。 「やる」 「え?」  目の前には水色のアイスがあった。 「ニャーン」と鳴き声も聞こえ振り向くと、シロさんが階段を降り前へ歩いていく。 「「狐達は香菜(かな)に感謝していたよ。お面はその気持ちとして受け取ってほしいそうだよ。」だってさ」 「シロさん……」 「……とけるぞ」 「あっ、うん」  アイスを受け取り端っこをかじる。冷たくて甘い味に顔がゆるむ。 「しまった」 「どうしたの?」 「いや、アイスより油揚げのほうがよかったなって」 「契のバカ」  顔を見合わせ、お互いアイスをかじり笑った。
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