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あなたが行きつけの居酒屋へ行きました。
ここの常連さんなのか、あなたは店主とも仲良くおしゃべりをしていました。
地元の郷土料理が自慢のお店。
私は、慣れないこの土地の料理をおそるおそる口にしました。
意外にも美味しくて感動しました。
「うまいだろ?」
「はい」
「お前のところは、こういうのないの?」
「港町なので、魚介類を使ったものが多いですよ」
「へぇ。実は、俺も港町の出身なんだ」
あなたの出身地は、私の生まれた街よりも、もっと北にある大きな港町でした。
その時まで、てっきりあなたは、この土地で、生まれ育った人なのかと思いこんでました。
「意外です。すっかり、こっちに馴染んでますね」
「だって、もう10年だからね。こっちに来て」
「そうなんですか」
「全然帰ってねーし」
「帰りたくならないですか?」
「ならないね。たまに、新鮮な魚食いたいなってぐらい」
食事が終わり、会計をする時、私は自分が支払うと申し出ました。
「いらねーよ」
「でも、私、恩返しがしたくて」
「恩返し?」
「上司からバカ呼ばわりされた時、助けてくれたじゃないですか」
「ああ、あれ?いいんだよ、そんなの」
「でも…」
「いつか、違うので返してくれよ」
結局、あなたが全部支払いました。
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