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神社の白猫が世話焼きうるさい。
灼熱の陽光が降り注ぐ田舎町の寂れた神社。そこに一人の青年と一人の狐面を被った少女が歩いてきた。手にはアイスを持ち、涼みつつデートと洒落込むつもりのようだ。
「少し涼もうか」
「うん」
「うんやあらへんがな!」
すると、どこからか関西弁が飛んできて少女がきょろきょろと周囲を見回した。だがいるのは白猫しかいない。
「絶対そいつ、神社に人気がないことを良いことにあないな事やこないな事するつもりやで!ワイが見とるからな!」
「うるせーぞ爺さん」
青年は当然のように言い放ち、少女は目を丸くした。
「神社の飼い猫にここの神主の爺さんの魂でも乗り移ったのか、喋るようになったのさ。妙に世話焼きなのもそのままだ…ほら、溶けるぞ」
「順応力高過ぎるよ!」
「クォラ!ヘソ出しとる子にそないな冷たいモン食わしたらお腹下してまうやろがアホ!」
やかましくも不思議で賑やかな、境内での一幕だった。
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