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「堅苦しい挨拶は無しで良い、セイラム王子。娘のマナだ」
「ラプラシア第一王女マナです。お見知りおきを……」
父王に促され、マナはセイラムの前に進み出た。
半ば呆然となりながら、優雅にお辞儀をしたマナの言葉に、セイラムが柔かな笑みを浮かべる。
「マナ王女。本日は十七歳の生誕の日を迎えられ、誠におめでとうございます」
そう告げると、彼は一歩後退し、側で控えていたもうひとりの男を紹介した。
「私の守護騎士を務めるセイジです。婚礼を終えれば、私の妃である貴女の護衛を任せることもあるでしょう。お見知り置きください」
「リンデガルム第十三王子セイジです。此度のご婚約、誠におめでとうございます」
セイラム王子に良く似た端整な顔立ちの、濃い色の髪と碧眼を持つその男は、マナの顔を一瞥すると、深々と一礼した。
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