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 わたしと彼が夫婦として過ごしたのは、たったの一日だけでした。  彼は十八で特別攻撃隊に配属され、戦場に向かう前日に、国の計らいに寄り、見ず知らずのわたしと結婚させられたのです。  初めて顔を合わせてただ狼狽えるだけのわたしに、彼は手を触れることもせず、自分の夢の話を聞かせてくれました。  空を飛びたい、と。  明日、死んでしまうというのに、晴れ渡る青空を仰いで、最期に夢を叶えられて嬉しいと、彼は言ったのです。  そして、最期に傍にいてくれたのがきみで良かったと、わたしに言ってくれました。  その笑顔があまりにも眩しくて、その言葉があまりにも残酷で、わたしは我儘な願いを口にしてしまったのです。  いつか、貴方と空を飛びたい、と。  願いが叶うことはなかったけれど、わたしは幸せでした。ただひとつだけ、最期に我儘が許されるなら。  ――誠治さん、もう一度、貴方に逢いたい。
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