第0話 ラプラシア王女の婚約

2/12
928人が本棚に入れています
本棚に追加
/231ページ
 森と湖の国ラプラシアは、長い間、峡谷の国リンデガルムと拮抗状態にあった。  国を護る騎士達は、湖の精霊と呼ばれる額に二本の角を持つ白馬ラプラスに跨り、森を、草原を駆ける。深緑の森と広大な草原に映える幻想的な美しさとは相反し、勇猛果敢な白馬の騎士達は、国の英雄的存在だった。  飛竜に跨り空を駆ける、隣国リンデガルムの竜騎士団と互角に渡り合えるのは、大陸広しと言えど、このラプラシア騎士団くらいのものだ。  両国は互いに不干渉を掲げていたが、その膠着状態についに終止符が打たれる。  神暦一〇八五年風の月七日――その日は、ラプラシア王国王女の十七回目の生誕祭であった。
/231ページ

最初のコメントを投稿しよう!