ついに、辿り着いた。

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辺りは、真っ暗で何も見えない。 人の気配を感じられず、 静かでどこか無機質な雰囲気のように思う。 どうやら、硬い床で寝ていたようだ。 起き上がって辺りを手で探ると すぐ横には、椅子のようなものがあった。 少しやわらかめの手触りで、自宅の椅子とは違う。 手を伸ばしてみると、すぐに何かに触れた。 平らで冷たいこの感触は、ガラスか。窓か。 誰かの部屋ということか。 真っ暗の中を手探りで歩いてみた。 通路は細く、足元には時々段差がある。 手すりのようなものを持ちながら少しずつ前に進んだ。 出っ張ったものに指先が触れた。 何かのスイッチのようだが、電気のスイッチなのだろうか。 それとも、もしかしたら爆弾のスイッチなのかもしれない。 それも、地球が吹き飛ぶくらいの威力のある可能性だってある。 ここはパラレルワールドなのだから、今までの常識は通用しない。 押してみるのはやめにしよう。 それにしても、この部屋は狭く歩きにくい。 誰かに閉じ込められているのか。 折角、パラレルワールドにこれたのに、 こんな狭いところに閉じ込められているんじゃあ意味がない。 窓のようなところを思いっきり叩いてみたがびくともしない。 途方に暮れてしばらく椅子に座っていた。 何時間そうしていたのだろうか。 いつの間にか眠っていたみたいだ。 窓から差し込む明かりで目が覚めた。 すると同時に、窓の外に立っている人と目が合った。 パラレルワールドの住民か。 そいつは、俺に向かって口をパクパクさせて 慌てた様子でどこかへ行った。 ここの住人も、向こうから人が来たらびっくりするようだ。 何はともあれ、明かりが差し込んできたのだ。 ひとまずは安心だ。 俺は、辺りを見回した。
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