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彼にはもう何年も会っていない。
彼がアメリカの大学に進学してからというもの、「次の夏には帰る」「次の夏こそは」と言い続けてはそれが実現したことは一度もなかった。
おまけに彼は卒業後もそのまま向こうで就職を決めてしまった。
『次こそは夏に長期休暇を取ろうと思ってるんだ』
この言葉はもう聞き飽きた。
言葉が現実になるなんて嘘だ。現に彼は帰ってこない。
それでも心のどこかで、その言葉が現実になることを待ち望んでいる自分がいる。
夏はいつも、もしかしたら……と心がそわそわして、落ち着かない。もともと嫌いだった夏がもっと嫌になる。
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