厄介事は突然に……。

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再度、話を聞いた限りでは赤黒いランプを電灯させた救急車が、河川敷にて浮浪者らしき者を運んでいたとの事だが…。 しかし、その浮浪者らしき者の胸には包丁が刺さっており、明らかに死んでいるようにしか見えなかったという。 正直、この内容だけでも厄介この上ない。 何故なら、これは片西が持ってきた都市伝説と類似する話。 否…。 これは恐らく、類似する話などではない。 恐らく、これは例の都市伝説そのものなのだろう。 だが、彼女の言う【大まか】の意味が俺には、やや引っ掛かっていた。 それは脳裏を巡る厄介な疑問ではあったが――。 しかし俺に、それを考えている暇はなかった。 何故なら、その直後、彼女はやや青白い顔色で【大まか】と言う言葉に対する答えを重々しく語り出したからである。 「実は、浮浪者を運び入れた救急隊員2人なのですがーー。」 その話は、そんな切り口から始まった。 そして、彼女は自分が経験した恐怖の体験を語り出す。 その体験とは、橋の上と言うやや遠方ではあったが彼女は、その救急隊員の一人の目を見てしまったという事実にあった。 だが、ただ目を見たと言うだけなら、大きな問題ではない筈。 ならば最大の問題は何だったのか? それは、その直ぐ後に続く言葉で早々に明らかになった。 その内容とは救急隊員の瞳には黒目の部分が、存在していないという事。 つまり、彼らの瞳には白眼しか存在していなかったのである。 しかし、だからといって、それは全盲という事には繋がらなかった。 何故なら彼らは眼球を動かして、明らかに【見る】という行為をなしていたからである。 また、その救急隊員達は青白い肌をしており、まるで病人の様だったと言う。 俺はその話を聞き終え、考えたくもない可能性を想像する。 その可能性とは、死体を回収している不気味な救急隊員は、死人であると言う非現実的な可能性…。 (は……ははははは…。 何をバカな……全く俺らしくもない。 まさか死人が死体を集めて歩いてるってのか? 有り得ないだろよ、そんなの……!?) そう……普通に考えて、それはリアリティーが無かった。 何処の世界に、死体を集める死者や幽霊が居ると言うのか?。 そんな話、おとぎ話でも聞いた事がない。 何よりゾンビなど、リアリティーが無さ過ぎる。
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